弁護士はテレビでよく見かけるけど、法律を扱っているらしい司法書士って・・・?と思われている方、多いと思います。最近、電車やバス、新聞やニュースでも司法書士という言葉を目にする機会が増えてきました。しかし、残念ながらその業務内容についてはまだまだ知られていないように思います。そこで、司法書士とはどのようなものなのか簡単に説明したいと思います。
司法書士をしていると行政書士(ぎょうせいしょし)や司書(ししょ)と勘違いされることがあります。本当によく間違えられます。
行政書士は隣接業ではありますが、資格としてはまったく別のものです。
司法書士の業務は大きく分けて、不動産登記・商業登記・簡裁訴訟代理・裁判書類作成・成年後見の5つになると思います。
不動産を買ったり、持っている不動産を担保にお金を借りたり、父親の名義の不動産を相続したりした場合、法務局に備えおかれている登記簿にある名義を変える必要があります。その書類作成や申請を代理で行う業務を指します。
新しく自分で事業を興したい場合、会社を設立するという方法があります。
会社を設立するためには、法律上、登記をしなければならないことになっています。
会社を設立したり、設立した会社の取締役を変更したり、会社同士で合併したりするときにそれに伴う登記手続きを行うのが商業登記の仕事です。
登記申請書のみならず、株主総会議事録や取締役会議事録の作成など、作成に携わる書類は多岐に渡ります。
※行政書士には商業登記の申請代理権はありません。司法書士が専門です。
簡裁(かんさい)とは簡易裁判所を省略した言葉です。民事に関する紛争であって、訴額が140万円を超えないものについては、原則として簡易裁判所で裁判を行うことになります。
たとえば、100万円を知人に貸したのに、返してくれないときどうしますか?
もちろん、「返してください。」と頼むでしょう。それでも返してくれないときは?
そんなときには、裁判をして、強制的に取り戻すしか方法はありません。
でも、そんなこと言っても、裁判所にどのような手続きをとればいいかわからないし、そもそも、自分ですることなんてできるの?裁判といえば、弁護士じゃないの?と思われている方も多いと思います。
簡易裁判所にて訴訟代理をおこなってよいと法務大臣に認められた司法書士(以下、認定司法書士といいます。)は、上記のような事案において、お客様の代わりに裁判所に提出する書類を作成し、お客様に代わって法廷に立つことができます。
お金は取り戻したいけれど、自分ではできないという方のために簡易裁判所に限ってではありますが、訴訟代理人となることができます。
本職も認定司法書士です。認定番号は601464号です。
認定司法書士は140万円までの簡易裁判所における訴訟代理権があるのはわかったけど、貸したお金が200万円の場合には、力になってくれないの?という方もいらっしゃいます。そのような場合には、裁判所に提出する書類を作成することでお客様をサポートすることが可能です。しかし、代理権がありませんので、法廷にはお客様自らが立つ必要があります。この問題は、なんとか自分で解決したい。でも、法的な知識について不安があるという方にとっては、本人訴訟支援ということで需要のある業務だと思います。
成年後見制度、この言葉も最近は新聞やニュースで耳にする機会が増えてきた言葉です。猛烈な勢いで高齢化が進む日本には、これから非常に大切になってくる制度です。
自分が認知症になって、自分が誰であったり、自分の財産として何があるかがわからなくなった場合、誰があなたを守ってくれるのでしょうか?
未成年者の親のことを法律では法定代理人(ほうていだいりにん)といいます。
成年後見人は認知症などになった本人(成年被後見人)の法定代理人として、本人の脳の代わりとなって判断し、法律行為を行う人のことをいいます。
司法書士は国家資格です。
合格率について平成20年度の司法書士試験の結果をみてみると 2万7102名が受験して、931人が合格したことがわかります。
※法務省の資料を参照しました。
単純に合格率を算出すると 931÷27102=0.034・・ということですので、
割合で示すと、だいたい1000人受験したとすると、合格するのは34人で、残りの966人は不合格になるという計算になります。
ここ十数年は、ずっと3%前後の合格率で推移しています。
覚えることもたくさんありますので、個人的にはそれなりに大変な試験だと思いますが、その割に知名度が低いことが残念です。
地道に頑張って、知名度を上げていきたいと考えています。
資格試験を受験することは、誰でもできます。
学歴、年齢、性別に関係なく受験できます。
一年に一回の試験で結果を出さないといけませんので、ケアレスミスは命取りです。
個人的には、誰でも受験することができる司法書士という資格は、開かれていていいなと思っています。
試験科目は、憲法、民法、不動産登記法、会社法、商業登記法、供託法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、刑法、司法書士法の11科目です。
登記法について、専門的に勉強するのは司法書士だけですので、会社の設立登記や不動産売買・相続に関する登記手続きについては、司法書士がもっとも詳しいと言ってよいと思います。
その他にも、司法書士は街の法律家として、お客様の法的トラブルを解決すべく活動しています。 まずは、お気軽にご相談していただければと思います。